先週から、保育園の運営費用を調べています。
最終的に、あまりにも複雑で細かく把握するのは断念したのですが、予想は大筋で合っていたので、調べたことをまとめます。
保育における公定価格
公定価格とは「政府が指定した物品の最高販売価格」です。
保育の質を担保するため、 保育園が受け取る金額は国によって定められています。
(ただし園児の年齢構成や職員の経験年数などによって変わります。)
この公定価格のうち、保育料として支払うのは一部です。
それ以外は行政からの補助金(施設型給付費)によって賄われます。
つまり「公定価格=補助金+利用者負担額」で、下の図のようになっています。
補助金(黄色)部分の負担割合は国が1/2、都道府県が1/4、市区町村が1/4です。
その他にも延長保育や独自イベントでの実費徴収、寄付金による上乗せなどがありますが、全体としては微々たるもののため割愛します。
「保育園では、保育料の他に補助金が出ている」ということを覚えてください。
保育園運営の費用負担の内訳
内訳については一般化した解説が難しいので、公開されている個別事例を紹介します。
しかしながら各項目の割合は、全国的にそれほど変わらないはずです。
東京都板橋区
2018年度の認可保育園運営経費における負担割合が公開されています。
保護者負担は1割、残り9割は補助金です。
年齢別の児童1人あたりの経費も算出されています。
保育士1人あたりが保育できる人数が少ない低年齢ほど経費がかかっています。
特に0歳児は、親が全額負担したら月収がなくなるくらい高額です。
東京都江東区
2018年度の保育経費の負担の内訳が公開されています。
保護者負担は1.5割、残り8.5割は補助金です。
年齢別の児童1人あたりの経費も算出されています。
経費の傾向は板橋区と同じですが、こちらは保護者負担額(平均)も記載されています。
自分の家庭より安いと感じる方がいるかもしれません。
東京都区部は自治体(区)の財政状況が良いため、本来の市区町村負担分に加え、保護者負担の一部も区が負担しています。
経費は公定価格に合わせて設定されることから、経費と保護者負担額の差が補助金とみなせます。
神奈川県逗子市
板橋区、江東区以外の公開情報はうまく見つからなかったのですが、逗子市の分析をしたブログがありました。
データの信憑性は不明ですが、ブログによると保護者負担は2.5割(上図右側の保護者負担25%)です。
毎月30万円もらう方法
保育費用の公定価格と、保護者負担の割合について説明しました。
以上から、記事のタイトルである「毎月30万円もらう方法」とは…
「子供を0歳児で認可保育園に預けて両親が働くこと」です。
前述したように、0歳児の保育経費(≒公定価格)は40万円近くかかっています。
保育料は世帯年収によって変わりますが、認可保育園では10万円を超えることはまずないです。
このことから、0歳児では実質的に毎月30万円以上の補助金を支給されていることになります。
保育園に預けずに親が自宅で育児する場合には、保育料は不要ですが補助金もありません。
(とは言え、利用しているサービスに対する補助なので、生活費が30万円増えるわけではないです。)
加えて(保育園に通う)兄弟がいる場合、保育料は2人目が半額、3人目以降は無料になります。
歳の近い3人兄弟とかになると、30万円どころか、毎月100万円近くもらっている計算になる家庭もあるかもしれません。
今回は保育費用の負担区分を中心に説明しました。
これに関連して、どんな人がこの恩恵に預かっているかも気になるので、次回分析したいと思います。
追記
保育園を通して給付金の恩恵に預かるという観点では上記の通りですが、正味の損得という観点では別の要因があります。
それは育児休業給付金です。
育児休業給付金は条件を満たすと最大で2歳になるまで支給されます。
一方、子供が0歳児のうちに仕事に復帰すると、育児休業給付金は打ち切りとなります。
多くの場合は0歳児4月復帰と1歳児4月復帰の2択のため、12ヶ月間は育児休業給付金の機会損失で30万円の補助金効果が弱まります。
例えば母親の月額給与が30万円とすると育児休業給付金は半分の15万円であり、0歳児で預けることによる実質的な恩恵は「補助金30万円 - 育休給付金15万円 = 15万円」に縮小します。
(ただし育休6ヶ月目までの育児休業給付金は給与の半分ではなく、67%の20万円です。)
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