幼児2人を母親1人が公園に連れてきて遊ばせる光景は、それなりに目にします。他人視点としての印象は「子どもは楽しそうだし、母親は口で制しながらも歩いて追いかけているし、それほど難しくはないだろう」というものでした。
私は3歳と1歳半の子を持つ父親で、普段は妻と子ども、つまり親2人・子2人で公園に連れて行っていました。
今回は急遽 妻が出かけられなくなったため父親1人で2人の幼児を連れだしたところ、たった200m先の公園に連れ出すことが想像以上に大変だということに驚愕しました。
良かったことも交えて、「自力でまともに行動できない複数の幼児を、親1人で連れ出すこと」の要点を書き連ねていきたいと思います。
- 自分の能力以上のことをやりたがる
- 休まずに歩けば数分で着くが、そこに行くために途中でおやつ休憩をする
- 子連れ散歩はおばあちゃんによく話しかけられる。ついでに父親も褒められる
- 信号が青になった瞬間に歩き始めても横断歩道を渡れない
- 公園に着いたら子どもたちは自由に遊んでくれる…ことはない
- 帰りの道は最大の難関、歩くことすらままならない
- 父親1人・乳幼児2人の散歩を終えて
- おまけ
自分の能力以上のことをやりたがる
諸事情で唐突に2人の幼児を連れだすことになったため、なるべくスムーズに移動できる体制にしようと説得を試みました。
3歳児の方は三輪車で行くことを希望していましたが、まだ庭での練習程度のため自力で三輪車を漕い出かけることはできません。そのため今回は三輪車ではなく歩いていくよう促しましたが、頑として断られました。
片や1歳児の方は歩き回れるようになってきたところで歩くことが楽しく、ベビーカーに乗ることをかたくなに嫌がりました。
かくして、「公園まで漕いで行けない三輪車の3歳児」と「公園まで歩けない徒歩の1歳児」を父親1人で連れ出すことになりました。
休まずに歩けば数分で着くが、そこに行くために途中でおやつ休憩をする
目的地の公園は住んでいるマンションの200m先にあり、大人なら3分ちょっと、幼児の歩く速度が大人の半分とすると、休まずに歩けば6分で到着する計算です。
途中で止まったり道草を食うことを考慮しても10分程度で公園に着く想定でしたが、全く期待外れでした。
もう少し詳しく書くとマンションの自室から建物エントランスまでは100mくらいあり、そこまでは割と順調でした(とは言っても3歳児は三輪車が遅々として進まないのに、三輪車に付いている大人用手押しハンドルを押そうとすると「おさないでっ!」と叫ぶので、1歳児の歩きよりゆっくりでした)。
そうしてマンションの共用エントランスを出たところ、3歳児が「つかれちゃった~」と言って地面に座り込んでしまいました。
早くも前途多難です。ただ時間的にもいくらか午前のおやつの時間に近づいていたので、近くに備え付けられていたテーブルでおやつ休憩をすることにしました。もう暑くなく、かと言って寒くない、秋晴れの優雅なティータイムでした。
それにしても、まさか住んでいる建物の敷地内でピクニックをすることになるとは思ってもみませんでした。
子連れ散歩はおばあちゃんによく話しかけられる。ついでに父親も褒められる
赤ちゃんや幼児を連れていると、すれ違う老人女性にかなりの頻度で話しかけられます。一生懸命よちよち歩きしていたりするとなおさらです。頑張っていることを褒められるので幼児はやる気が出ます。
そして時々、親も褒められます。「お父さんなのに子どもを連れて散歩なんて、偉いわねえ~」
こう言われると私としては「それはアンコンシャス・バイアス(性別役割分業意識)と言って、現代社会では差別にもつながる発言ですよ」と反論しそうになってしまうのですが、褒め言葉に水を差すこともないだろう、と無言の笑顔でやり過ごします。
ただし、いきなり触るのはやめていただきたい!(半沢直樹風)
これは年齢・性別にかかわらず、不用意に近づいてくる他人には用心するよう、家庭教育の一環として言い聞かせているからです。
昭和の子育てではそこまで警戒することもなかったかもしれませんが、令和の子育ては触れ合いより危険リスク回避の方が優先度が高いです。
触れ合いたい場合は先に親に断ってもらえれば、無碍に断ることしないと思います。
信号が青になった瞬間に歩き始めても横断歩道を渡れない
歩くのがやっとの幼児2人を連れていて、絶望的に困難なのが信号機のある横断歩道です。信号機のない道は時間をかけても進めばいいのですが、信号機による強制的なカウントダウンは鬼の所業のように感じられます。
子ども1人なら、いざとなれば抱きかかえて渡り切れば何とかなりますが、2人+三輪車を持ち運ぶのは困難です。そのため1人を抱きかかえ、もう1人を手で引っ張り、三輪車を蹴って進む、みたいなことになります。
しかもそういうときに限って抱っこしている子の靴が脱げたりします。彼らの靴には「抱っこ検知・自動脱着機能」が付いているのか、と疑いたくなるレベルです。
公園に着いたら子どもたちは自由に遊んでくれる…ことはない
危険がいっぱいの道のりを歩いて公園に着いたら親はゆっくりできるか、というとそうでもありません。いやむしろ、2人の子どもが遊具に興奮して、バラバラに動き回るので目が離せません。
それだけでなく、1歳と3歳だとまだ自力で遊べない遊具もあるので、ことあるごとに3歳児に「おとうさんきて~、のせて~」と呼び出されたり、1歳児が無言もしくはうなりながら階段を登る姿を見ては飛んでいって、いつでも支えられるよう手を添えておいたりします。
気が抜けません。
帰りの道は最大の難関、歩くことすらままならない
公園遊びが楽しくて帰りたがらない、という問題もありますが、帰りの道はさらに鬼門です。公園で力を使い果たしてしまい、子どもたちは歩いて帰ることができなくなってしまいました。
3歳児はまだその気になれば歩けるのですが、1歳児の方は「数歩進むとストンと尻もちをつく」という行動を繰り返していました。歩きたい気持ちは残っているのですが、なぜか力が抜けて座ってしまうので、本人としても不思議そうな顔をしていました。
仕方ないので抱っこするのですが「あるきたい~」と言わんばかり(まだ喋れない)に身をよじって抜け出そうと抵抗されました。
歩かせるのも厄介、抱っこするのも厄介です。
最終的には、3歳児と1歳児と三輪車を20mおきにピストン輸送していました(それ以上離れると泣かれるので)。
父親1人・乳幼児2人の散歩を終えて
大人が歩けばわずか3分の200m先の公園に、子ども2人を連れ出すのに30分以上かかるとは想像のはるか上でした。それと同時に今まで大したことないと思っていた「未満児(1~3歳)2人を公園で遊ばせる母親」の、見た目にはわからない大変さを実体験しました。
あのゆっくりと追いかける動作はいざというときに2人を運ぶ体力を温存しておくためで、頻繁に口出しするのは、離れた場所にいる子どもを危険から守るためだったのです。
おまけ
子ども2人を私1人で連れ出すことになったときに「この際、ブログ記事にするためにたくさん写真を撮ってやろう!」と意気込んでいましたが、体力的・精神的な疲れと時間的余裕の少なさにより全然写真を撮るチャンスはありませんでした。
帰りの道では2人とも動きが鈍くなり、3歳の姉が1歳の妹に三輪車を譲ったことで、2人とも動きが止まった唯一のシャッターチャンスでした。